光学の町で培った高精度技術を携えて医療機器製造に挑む!

メイドイン・板橋の誇りと町工場の底力:沼田光機製作所

東京都板橋区前野町。東武東上線ときわ台駅北口から徒歩20分ぐらいだろうか。
閑静な住宅地の中に〇〇製作所と書かれた看板がしきりに目に飛び込んでくる。そう、板橋区は光学技術発祥の地。光学機器メーカーのものづくりを支えてきたのが前野町界隈の町工場なのである。
有限会社沼田光機製作所さん(以下沼田光機)もその一社。事務所を訪ねると沼田憲仁社長と奥様の貴子専務が笑顔で出迎えてくれた。

沼田光機製作所
並べられた加工サンプルの数々

「会社の創立が1957年と伺いました。優に60年以上光学部品の加工に取り組まれてきたということですね?」
「そうですね。キャリアと製品の精度に対するこだわりが『沼田品質』と言われる仕上がりを生み出してきました。例えばこういうパーツ、ここまで仕上げられる工場は今は少なくなってきたと思いますよ」と貴子専務があるパーツを手渡してくれた。薄いリング状、軽くてしかもピカピカだ。一見してこのパーツがどういう製品のどこに使われているのか想像もできないがその薄さに息を飲んでしまう。

沼田貴子専務
沼田貴子専務

「これを機械で削って磨いて作るのですよね?」
「はい、昔は出来て当たり前の製品なんです。うちは0.1mmぐらいまでの薄肉加工を得意としてるんです」と憲仁社長。
まさに加工機のスペック以上の精度を引き出している沼田品質。その秘密は加工時に使う治具(じぐ:jig)の自作にある。治具とは加工材の位置決めや保持に使われる工具で製品に合わせて大きさや形状が異なるものが用いられている。

作業中の沼田憲仁社長
作業中の沼田憲仁社長

沼田光機では量産品であっても求められる数値以上の精度の製品を納めてきた。時にはクライアントの担当者より『過剰品質』と言われた程だという。かつて世界中を席巻した「メイドインジャパン」の工業製品。その中でも「メイドイン・板橋」のパーツは最高級のクオリティを保っていた。沼田光機ではこの「メイドイン板橋」の技術を医療機器製造に注ぐべくチャレンジを続けている。
「医療機器製造に参入しようとされたきっかけは何かあったのですか?」
「はい、知り合いの外科医の先生と話をしている時に、手術に使う機器の使い勝手についての不満を漏らしていたのを聞いたのです。製造メーカーに上げてもなかなかフィードバックされない、と。それならウチで作っちゃいましょうか?などと言ったのがきっかけですね」と貴子専務は笑いながら語る。
思い立ったら行動は早かった。産技研(東京都産業技術研究センター)の門を叩き、産学公コーディネート事業に参画。「医療現場のユーザー評価」案件に採択、試作した機器は高い評価を受ける。
さらに低浸襲治療にスポットを当て静脈弁カッターの試作を進め、昨年末にはドイツで開催された産業展COMPAMED2017に出展。世界にその取り組みをプレゼンした。

ドイツで開催された産業展COMPAMEDで展示したパネル
ドイツで開催された産業展COMPAMEDで展示したパネル
数々の苦難を乗り越え完成した医療機器「TFベノキュア
数々の苦難を乗り越え完成した医療機器「TFベノキュア

試作品の数々を手にしながら貴子専務は「やはりお使いになる方の『ここがこうだったら』という声をフィードバックさせそれを製品に活かしていきたいですね。さらに医療機器の場合はそれによって手術を受ける患者さんの立場にも立たないといけない。お使いになる先生にも患者さんへも負担やストレスが少ない製品づくり、これが沼田光機が目指すものづくりです」と語る。

会社名/名称 有限会社沼田光機製作所
ご紹介期間 2018/09/20 ~ 2018/12/31
所在地 〒174−0063東京都板橋区前野町4-2-1
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